9/15(日)  声優:柿原徹也さんゲストトークショー - アニカレ広場

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来校ゲスト帖

9/15(日)  声優:柿原徹也さんゲストトークショー

2013年12月02日

9月15日(日)秋のオープンキャンパストークショーのゲストとして、TVアニメ「天元突破グレンラガン」シモン役、「青の祓魔師」 アマイモン役 、そして「AMNESIA(アムネシア)」 シン役でおなじみの柿原徹也さんにお越し頂き、トークショーが開催されました。司会は学校長と声優学科2年生、佐藤詩歩さんが務めました。

今回はトークショーの最初に、来場者の中で、アニメーション業界を本気で目指している方はどれくらいいますか?という問いかけが、柿原さんよりありました。問いかけに対して全員が、『アニメーターかマンガ家、イラストレーター、声優を目指している』との答えがあり、柿原さんも『じゃぁ、その気持ちを少しでもお手伝いできる事が話せると良いですね』と笑顔でお答えいただき、とても良い雰囲気でトークショーがスタートしました。

一本一本を大切に演じたい。

Q.いろいろなキャラクターを演じていらっしゃいますが、どうやって演じ分けていらっしゃいますか?

A.今、世の中には沢山の作品がありますよね。おかげで僕達はいろいろな作品での演技を皆さんに見ていただいているわけです。その作品…例えばマンガ家の方にすれば、その作品だけを何年もかけて描き続けて、いわばその作品が人生そのものという想いを込めて描いていらっしゃると思うんです。それは、その原作をアニメ化する時のアニメーターの方々の努力や想いも同じだと思います。

声優の僕達は、週に何本も掛け持ちしてアフレコをこなしてはいますが、一本一本でスイッチを切り替えると言うより、一本一本を大切にするからこそ、大切に演じたいと思っています。監督の方の意向、演出家の思い、原作者のこだわり…一本一本全部違うんです。その思いをくみ取って、演じる。その世界観を感じて演じる。それは決して自分一人でするのではなく、仲間と一緒に作っていく過程において、その作品に溶け込んでいく。その世界観を理解する役者同士の想いの融合によって自然に世界観が成り立っていく。そういうことだと思います。自分が、こう演じる。自分が、こう切り替わる。自分が自分がというのは大切でもありますが、もっと大切なのは、一緒に作品を作っていく仲間と、どう世界観を構築するか、ということなんですね。決して、この世界の作品は一人では作れないのですから。

Q.周りとの接し方や気配りも大切ですよね。

A.たとえば、新人の声優になって、先輩に挨拶しにいったとします。挨拶は当然大切だし、挨拶を否定するのではありませんが、ただ、『挨拶』が目的になってしまうともったいないです。先輩やあるいは監督に、『自分を覚えてもらうこと』の方が大切なんですね。ちゃんと目を見て挨拶するとか、ただ大きな声を出すだけでなく、時と場を考えて行動にうつすとか。そして、もっと大切なのは、挨拶で覚えてもらのが目的ではなく、最終的には『お芝居』で覚えてもらうということ。アフレコの時に良いお芝居や面白いお芝居をしたりすると、ベテランの声優さんとか主役の声優さん達が、※香盤表(こうばんひょう)を見出すんですよ。『あぁ、そうか。この面白い演技をする子は、さっき挨拶してくれた○○さんだったのか。』…ここで初めて、先輩に覚えてもらえるんです。挨拶した意味は、ここで初めて出てくるんですよね。ここで言う、面白いお芝居は、それはお芝居の上手下手じゃなくて、むしろヘタだけど面白いよねって言われること。上手じゃないけど、そのお芝居は君にしかできないよねって、そういうことかもしれません。
※香盤表(こうばんひょう)とは出演者の出番や全体の進行などを記した表のこと。

自分が楽しむことが一番

Q.キャラになりきるにはどうしたらいいですか?

A.僕は学生の頃から演じるのが好きだったんですよね。下手の横好きっていうか、日本語もあやふやだったし、日本語力や日本の社会の知識に追いつくのに必死でしたね。(柿原さんは18才までドイツ在住)今でこそ声優志望の帰国子女って増えましたけど、僕達の頃はまだほとんどいなかったですし。で、僕達の場合は、小さい頃に当たり前にアニメが手に入る環境に、当然ながらいなかったんです。だから、どんなアニメが流行ってるんだろうとか、どんな芝居が良いんだろうとか、監督さんは誰が凄いんだろうとか、そういうこと全てが、勉強だったんです。その時に勉強したことが、今の僕の『演技』に、直結してるんだろうなと思います。このキャラクターはどういうキャラクターなんだろうとか、監督さんはどういう作品づくりをする人なんだろうとか、原作の方は前にどんな作品を生みだした人なんだろうとか、そう言うことを総合的に考えると、『あ、次はこういうお芝居を要求されているんだ』ということを、心と頭で感じ取って、表現していく。そういうことなんじゃないでしょうか。 そして何より、自分が楽しむことが一番大切なんだと思います。お芝居って、自分が楽しまないと出来ないですよ。

そのお芝居を、こういう学校でこれから勉強していくわけですが、その時に皆さんを襲ってくるのが、『マンネリと自分との闘い』なんです。はじめて何ヶ月かたつと、自分より少し上手い人が周りに出てくる。何かその人が、いつしか自分より凄く上手いように聞こえてくる。そうすると、憧れて学校に来たのに、何故か学校へ行くことがおっくうになってしまう。

でもね。それは学校の中。クラスの中でのことなんです。それは実際に社会に出て、業界に出てみると、実は自分が思っていた差なんて、微々たるものでしかないんです。大切なことは、自分と向き合うこと。人と比べるのではなく、自分と向き合って闘うこと。自分に負けないこと。自分に厳しく、人に優しい人。そのことを続けている人にはこの業界への扉が絶対に開かれるんだと思います。

今日はこれを何か一つやろう!と思って実践すると、人は必ず成長します。

Q.声優として、生活に気をつけていることはありますか?
A.先日、二日間、ソロライブを行ったんですが、一日20曲、歌うんですね。三年前くらいから始めたんですが、やっぱり『体力』って大事なんですよ。声優の仕事って、肉体的に凄く汗をかいたり、筋肉痛になったりってあまりしない仕事なんですね。でもライブをやっていく上で、キレのある体づくりや、歌声に深みを出すためのトレーニングとか、専門的に初めて三年なんですが、最高のパフォーマンスを皆さんに見せるには、必要だと痛切に感じましたね。将来皆さんも、声優になって、主役やヒロインを担当したとき、今のアニメは必ずイベントが付いてますから。歌ありき、ダンスありきで仕事が来ますから。前もってやっておかないと、例えば、主役になりました、イベントがあります、三ヶ月後ですって、そこからダンスやっても準備しても間に合わないですからね。しっかり準備しておいてください。武器になりますから。

このことに限らず、外郎売りや腹筋、何でも構いません。今日はこれを何か一つやろう!と思って実践すると、人は必ず成長します。頑張ってください。また、そういうことやそういう姿勢を、学校に入るまでにしっかり準備しておいてください。

※なお、本校の声優学科は1年次、2年次ダンスの授業を行っています。

最後に、参加者全員と記念撮影をし、この日のゲストトークショーは終了しました。集合写真はポストカードにして参加者全員にプレゼントします。楽しみにしていてくださいね!柿原徹也さん、お忙しい中、ありがとうございました。

なお、当日の午前中は恒例の在校生向け特別授業!
いつか現場で出会う後輩達に大先輩の柿原さんから熱いメッセージを頂き、声優や演技について多くを学ぶことができました。

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